「なんの......ことですか?」 誘拐? 誘拐って、なに? 何故そんなことを? 先生は本当に、カウンセリングの先生? 明らかに何も知らなかったことが伝わったらしい。先生はゆっくりと、言葉を紡いでいく。 「昨日、君に聞いてもらったのは、実はただの音声じゃないんです」 真っ白になる頭に、先生から発せられる言葉が焼き付けられるように、刻まれていく。 「でも、それは、先生が歌った音声って」 「ええ、言いました。でもごめんなさい、あれは嘘なんです」