あかいろのしずく

残念ながら面識がない、と答えようとしたら、サユリさんは首を振った。



「あの子じゃないの。あの............」




そこまで、言いかけて。サユリさんは口をつぐんだ。
なに?


そういえば、この違和感。目が覚めたときからなにか、大事なことを忘れている気がしたのは、このせいだったのかもしれない。


知りたいと思う反面、拒もうともしている。私の中にあるそんな中途半端な心。良くない事なんだとは薄々思っていた。彼の口から話されるまでは。