「あなたは教室にいたんですね?」





椅子に座り用箋ばさみを手にしている男性が、ゆっくりと私に尋ねた。


念のため家で待機となっている今、特に何もすることがない私だったが、最初は体調を崩しベッドから離れられず、食事も喉を通らず、夜は一人で眠ることができず眠れない日が続いていた。


今はだいぶ回復しそれほど酷くないものの、脳裏にこべりついたように離れない光景を忘れるには、まだいくつか日が足りないような気がする。



学校側が気を遣ったのだろうか。


私の家にカウンセラーが来たのは、学校が休校となり一週間が経った、雪の降る日のことだった。