金井さんにゴメンと動作をした後、私は少し離れた所に行き、電話に出た。

「はい」

「理実?」

「そうだけど」

「……あのさ、今から会える?」

「なんで?」

「理実に用事があって」

私は亮介のいきなりの呼び出しに困った。
用事ってなんの。

亮介とは琴美と飲んで送ってくれた以来だし、高校の時の元カレだからと言ってもとっくに昔の話だ。

今更、亮介とは何もならない。

亮介の方が年上だけど、気兼ねなく話せるのは長年の付き合いと亮介の人柄がいいから。

だから、恋人じゃなく、よき友人として関われるから。

「…今、人と会ってるから。それ終わったらでいい?」

「じゃあ、高杉駅の近くにあるコンビニで」

そう言った亮介は、電話を切った。