きみの理想の相手


「理実さんは、生活介護しているんですよね。
どうです?」

金井さんは話題を変えようと、私のことを聞いてきた。

多分、金井さんの気遣いだろう。
自分だけ話しても、相手はつまらないかもしれないと。

「いや、大変ですよ。利用者が落ちつかないことがあったり。職員も体張らないとついていかないです」

私はそう言うと、金井さんは顔色変えずに、ジッと私を見て頷いていた。


「…大変だけど、やりがいが感じられそうですね」

ただ、大変という言葉だけではなく、やりがいという言葉を使って私に金井さんは言った。

それが私にとって、嬉しかった。
同情するのではなく、寄り添う声がけが。

「…はい。そうですね」

私は驚きながら、金井さんを見て返事をした。

その時、店員さんがやってきて、お待たせしましたと言って、私達が頼んだどんぶりがテーブルに置かれた。

その後も、金井さんとお話をした。

前も気兼ねなく話せてはいたが、今日は一段と金井さんと距離が縮まった気がする。