「いや、大丈夫ですよ。逆に言ってもらった方がいいです。ありがとうございます」
私は口角を上げて、金井さんに返答した。
「….…はい」
金井さんは顔を右手で覆ったまま、私を見て声を発した。
「か、金井さんは、大学で何学んでるんですか?」
平然を装いながら、私は金井さんに聞く。
「あ、経済学を学んでます」
顔から右手を離して、目を丸くして金井さんは私を見てきた。
「経済学。難しそうですね」
私がそう言うと、金井さんは前のめりに自分が学んでいることだからか、すぐ答えてくれた。
その姿は楽しそうだった。
「いや、コツ掴めば簡単ですよ」


