「いや、いきなり知らない人がいたからびっくりしたけど、亮介先輩の同期だって言われたし、理実のことも知ってたみたいだから一気になじんだよ」

「なら、いいけど。吉木さんとなんもなかったよね」

私は何もなかったことを心で祈って、琴美に聞いた。

琴美は何ごともなかったように私に返答をしてくれた。だが、予想だにしない言葉に驚いた。

「……やっちゃった」

「はあ??」

「だってねぇ、酔った勢いというかなんというか。うわー、口に出してみたら何してんだよ、私」

電話越しでも分かる。

琴美は顔を赤くして、恥ずかしそうにしているのだと。私はそんな姿を想像しながら、琴美の返答を聞いていた。

「…でも、いい感じだったんじゃない?」

私はそう言いながら、恥じらう琴美を可愛いと思ってしまう。