きみの理想の相手


 廉の携帯を見て、ため息をついた。

 ため息をついた後、俺は店員にお金を払っていた。店員がありがとうございましたと礼をして、俺に言う。

自動ドアが開いて、俺たちは売店を後にした。

「…輝。お前なんかあったのか」

 廉は、次に授業を受ける教室に向かいながら歩き、俺を見た。

「なんで、そう思う?」

 俺は廉を見て、言う。

「顔がニヤついてる」

 廉は真顔で俺にただ一言だけ発した。
 
 その言葉に驚きを隠せなかった。

「……っ、いやそんなことないと思うけど」

「じゃあ、自分の顔見てみれば」

 バンっと廉はカバンから鏡を出していた。
 
 普通、男子は鏡なんて日頃持っていないが、廉は姉がいる。

 その姉がいつも言っていたのだと言う。

 男女問わず、鏡は必需品。
 
 常に持ってなさいと常日頃言われていたから、持ち歩くようになったらしい。