きみの理想の相手


 俺は息を整えながら、部屋のドアを勢いよく開けた。

 周りはみんな座っていて、俺が遅れてきたので余計目立った。

「おせーぞ! 輝!」

 みんながいるというのに、大きな声で俺が来るのを待っていたかのように声を上げていた。

 後ろにいた友人達の元に行くため、階段を登った。

 俺は席に着き、友人達と話し始めた。

「何してたんだ?バイトは昨日の夜に終わったから授業ギリギリ遅れることはないと思ってたけど」

「……ちょっとな。なあ、あいついないの」

 俺は、隣にいた友人である海(かい)に授業が始まっているのに声をかけた。

「ああ、今はいないぞ。次の時間来るって」

 海は俺を見てから、もう一人の友人である廉(れん)がいないと言った。

「そうか」

「なんか廉に用あったのか?」

「いや、聞きたいことがあって」

「なに?」

「いや、お前に言ったら噂になりかねないからな」

 海は面白そうに、俺の肩を触り、ちょっかいを出してきた。