きみの理想の相手


 俺は去年の4月に、バイトの新人として入った。
 バイトを始めて、一ヶ月と経った時だった。
 
 理実さんと会ったのは、初めてレジ打ちを任された時だった。

「お待たせしました」

 俺は初めてレジ打ちを任されて、内心ドキドキであった。

 初めて対応したお客様は理実さんだった。

 理実さんは、俺に本2冊を差し出してから、鞄から財布を取り出した。

「…1950円です」

 俺はビビリながらも、お客様である理実さんに対応した。

 理実さんは2000円を出してから、俺を見ていた。俺がお釣りを理実さんに渡して、本を、カバーしてから袋に入れた時、理実さんは言ったんだ。

「ありがとうございます」

 理実さんは俺が持っていた袋を右手で持って、感謝の言葉を発してから礼をした。

 初対面な理実さんは、俺に笑いかけてから帰っていた。

 ただ、それだけだったんだ。

 なのにこんなに好きだったなんて。

 理実さんとレジで関わる内に、なぜか分からないけど好意を持っていた。