きみの理想の相手





「ごめん。恵くん。遅れた」

私は息を切らせながら、恵くんを見つけた。

「大丈夫。俺はコーヒー飲んでゆっくりしてただけだから」

恵くんは携帯を見ていて、私を見つけると、手を挙げていた。

「…それならいいけど。じゃあ、私は紅茶頂こうかな」

私はそう言うと、恵くんは店員を呼んだ。

「俺が店員呼ぶよ。すいません」

「はい。なんでしょう」

「紅茶ひとつで」

女性店員が来て、恵くんは注文を頼んだ。
恵くんはここのカフェの店員だから、親しいのだろう。手を挙げて、礼をしていた。

女性店員は返事をして、ちらっと私を見てから去っていた。

「暦ちゃん。話ししたいことってなに?」

恵くんは直球で私に聞いてきた。

「え?うん、それは紅茶きてからでダメ?」

私は戸惑いながら、恵くんに今ではなく、紅茶きてからにしてと頼む。

「……そうだね」

恵くんは少し悲しそうに返事をしていたが、私はその様子を目を逸らした。

「…私、ここで恵くんと会うなんて思わなかったな」

私は違う話題に切り替えた。

「そうだね。俺も思わなかった。だけど、すぐわかったよ」

恵くんは頬杖をついてから、私に微笑んできた。