その一方で、恵くんは
「はあ、やっぱフラれるのかな」
椅子に座って、俺はため息をついていた。
その時に、俺が勤めているカフェで、待ち合わせをしている。
そして、同期の女性店員が話しかけてきた。
「ちょっと、何ため息をついてるんですか?」
女性店員は、迷惑そうな言い方で俺に言ってくる。
「別にいいだろう」
俺は少しいじけながら、女性店員に返事をする。
「前来ていた女の方を待っているんですよね」
女性店員は俺を見て何かを言いたげにしながら、聞きたかったのであろうことを言ってきた。
「…そう」
下に俯いて俺は返事をすると、女性店員は突発的に言ってきた。
「あの方は恵さんと気が合いますよ」
女性店員は、笑みを浮かべて俺に声を発した。
「何を根拠に」
俺は女性店員に言うと、何も言わず去っていた。
なんなんだと独り言を呟きながら、携帯をいじっていた。
それは、高校生・理実とのツーショット写真だった。
随分前のことなのに、消せないでいた。
写真を見るたび、俺は何年貯め込んできたものが、今現れて、理実を頭の中でよぎる。
どうしたものか。
俺は携帯フォルダに入っていた写真を理実が来るまで見ていた。
カランカランとドアが開いた。


