退屈だった授業を終え、教科書を片付けていると「モニカってさ」と言う誰かの声が聞こえた。

「何で問題行動ばかり起こしてんの?迷惑でしかないよね」

「…何が言いたいわけ?」

私は、クラスメイトに詰め寄った。クラスメイトは「な、何でもない!」と言ってどこかへと去っていく。ほとんどのクラスメイトは私に話しかけて来ない。皆、私を怖がって話せないらしい。普通に話しかけてくるのは――私のことを良く知るルカぐらいだ。

「ねぇ、モニカ…」

ルカが私に話しかけて来た時、クラスメイトの皆は驚きを隠せない様子でルカを見つめた。私とルカは、教室では話さないからで、優しく控えめなルカが私に話しかけるとは誰も予想していなかったのだ。

「どうして――」

ルカは、そう言いかけると口をつぐんだ。そして、私の手を掴むと片方の手で持っていたステッキを振って私を誰もいない場所に移動させた。

「何で俺以外に素を見せようとしないの?それが無理なら俺に何でも話して?」

「……ルカには関係ない」

「関係あるよ?皆、モニカを怖がってるじゃん…」

「素を見せたところで…本音を吐いたって……ルカも、私のことを裏切るんでしょ…!もう私に関わらないでよ!」

私はそう言ってから、ルカの顔を見てみると、普段泣かないルカの瞳には、涙がたまっており、苦しそうな顔で私を見ていた。

私は「もう私に話しかけないでよ…」と言い残し、ステッキを振ると魔法学園の敷地内にある寮の私の部屋に来ていた。

……本当は、ルカに本心を話したかった…。でも、裏切られることが怖くて話せなかった。……馬鹿だな。私は、ルカを傷つけてしまった……。