「ずるくてもいいんだよ。藤田。大切なものを失わないためには。ずるくても。」
藤田は目にいっぱい涙をためながら微笑んだ。
「大人になるって苦しいね、先生。」
また藤田を抱き締めたい衝動にかられる。

そんなの許されるわけ無いだろ。




「先生、もう私に関わらないでね。」
「え?」
「私、先生のこと嫌いじゃなくなっちゃった。だから私に関わらないでね。」
死神なんてくそ食らえだ。


俺は藤田をありったけの力で抱き締めていた。