「それを1番分かってないのも、認めてないのもお前だろ。」
「…分かってるよ。」
「分かってるなら戻ってこい。茜のいない学校じゃなくて、もっとお前のことを必要としてる人のいるところに。」
拓也が俺を心配してくれているのを知ってる。このままじゃいけないことも知ってる。
でもまだ前には進めない。

「そのうちな。」
「茜のこと、思い出にできそうか?」
「…思い出にする必要、無いだろ。」
と返した俺の言葉に拓也は今度はぽんぽんと優しく肩をたたく。

「じゃあ、俺戻るわ。この子のおばあちゃんはひとまず隣町の入所型の施設に保護されるって。明日にでもケアマネが相談しにこの子のところに来るらしいけど、未成年だからなぁ…。このまま入所だろうな。」
「そっか。サンキュ。」
「おう。」
俺は拓也が病室を出てすぐに
「おい、タヌキ。」
と藤田に声をかけた。