思わず頭を撫でようとした手を病室の扉が開いて慌ててひっこめる。

「どうだ?」
「意識は戻らないけどバイタルは安定してる。起きたら帰れそうだ。」
「そっか。」
「あぁ。」
陽咲から視線を拓也に移すと拓也はにやにやと笑っていた。

「なんだよ」
「嬉しいよ。久しぶりに医者の顔してたな。蓮。」
「まさか。ただの学校医だよ。俺は。」
「またまた~。医大を首席で卒業しといて学校医になるなんて。茜が泣くぞ?」
「泣かないよ。もういないんだ。」
俺の言葉に拓也は俺の背中を思い切り叩く。