私が処置室に入る直前に警察官が見えた。
ふたりの婦警さんに支えられているのはおばあちゃん!

私は車イスを飛び降りておばあちゃんのもとへ駆け寄った。
「おばあちゃんっ!よかった!」
無事を確かめようと抱き締めてから体をはなし全身を見ると
「どなたかしら?」
とおばあちゃんが首をかしげた。
「陽咲だよ。藤田陽咲です。おばあちゃんの孫です。」
私がいつもの口調で言うと
「まぁ、私と同じ名字ね?嬉しいわ。」
とおばあちゃんは両手を合わせて笑った。
「本当に。同じだね。」
その笑顔に私は安心して全身から力が抜けた。