先生の運転する車で病院へ向かう。

「これ、着てろ。」
先生は後部座席からパーカーを取るとわたしに渡す。
「着ろ。」
「はい。」
私はブカブカのパーカーを着て先生のにおいに包まれてどきどきしていた。
「静かなお前、はじめてだな。」
そう言って笑う先生が朝陽で眩しい。

「先生、ありがとうございます。」
「しおらしいお前もはじめてだな。」
先生が眩しくて目をそらしながら私は止まらないどきどきをブカブカのパーカーのなかで隠した。