保健室のベッドに藤田を寝かして脈をとる。
遅い…。
カバンを開けて吸入器を見つけ、念のため藤田の体を起こして自分にもたれ掛からせて、吸入する。

何をしても起きないくらい藤田は熟睡していた。

吸入器を戻すとき一冊のスケッチブックが目に入った。

そういえば生徒記録には中学では美術部だったって書いてあったな。

そんなことを考えていると眠りながら藤田が「啓吾!」と声をあげて手を伸ばした。

自分でも驚くほど自然に俺は藤田の手を握っていた。