意識を失った陽咲を全力で抱き締める。全身が恐怖で震えた。この命を失うかと思った…。


「陽咲!」
肩で息をする宮田が駆け込んできて俺は正気に戻る。


「タオル持ってこい!」
俺は宮田にそう伝えながら藤田の鞄から吸入器を出して吸入する。藤田の手のひらを開きそっと破片を取る。

その時、紅色の絵の具も落ちた。


次々に溢れる血は紅色だった。