私は鞄から紅色の絵の具を出して胸に握りしめる。

啓吾…啓吾…けいご…。



早くしなきゃ…

優子の命が持っていかれちゃう…


私は近くにあった花瓶を思いきり床に打ち付けて割り破片を手にした。強く握ると紅色の血がぽたぽたと流れた。

破片と紅色の絵の具を一緒に両手で握り首もとへ近づける。

この手が震えるのは発作だからじゃない。

怖い…。自分が怖い…。

私は目を閉じて自分の首に破片をあてた。