「茜がそれだけ想ってたんだ。そんなお前が過去から抜け出せずにいたらあいつ悲しむよ。幸せで泣きたくなる絶頂に人生を終えられる人間なんて少ない。医者になって痛感したよ。」
「……。」
「なぁ、蓮。」
「ん?」
「茜のためにもさ、もう進もうぜ?俺ら。」
「あぁ。」
そう言って拓也は背中を向けたまま眠りについた。

俺は眠れなかった。

そう簡単に過去からは抜け出せない。