「呼べって言っただろ。」
「え?」
「なんかあったら呼べって、言っただろ。」
先生は少し怒った顔をしている。

「ただいま」
「…おかえり。」

先生にはなんだってお見通しなんだ。




先生はよく夕飯を一緒に食べてから帰るようになった。先生がいつ来てもいいように私もおかずを作っていることが増えた。

この関係に名前はない。

名前はつけられない。

それでもこの距離だけで十分だった。