待ち合わせ場所に行くとそこには既に拓がいて、私は時間を間違えたかと思ってあわてて腕時計を見た。
そんな仕草を見て拓は声を出して笑い、早く着いたんだ。と言って私の髪を撫でてくれた。


相変わらず馴れ馴れしい男だな、と思いつつ触れられた頭に少し…ほんの少し熱を感じた気がした。



「それで…こないだの続きって、何の話ししてましたっけ?」


近くの喫茶店へ入り、軽い沈黙をなんとかしようとメールの内容を思い出した。


「あ、そうだったね。確か、今彼氏が居るんですけど…まで話して終わったかな」


なんでそんな微妙というか、図ったような終わり方しているんだ私!と、自分自身にツッコミをいれつつ、この後自分が何をこの人に伝えようとしていたのかがわからない。


「あ…え~と…」


彼氏が居るけど、構ってくれないから寂しい?

彼氏と、倦怠期?


どちらも誘っているように聞こえるんじゃないか


「別に、言いにくいなら良いんだよ?強制してるわけじゃないからさ」


「…ごめんなさい…酔ってたし、ちょっとわからないな」


茶を濁す、とはこういう時に使うんだろうか?
私は何も言えなくなり、ひたすらコーヒーを口に運んだ。