お願い、好きって言わないで。







次の日。
生徒たちは夏休みだけれど、先生は普通に仕事があった。


「雅さん、昨日は本当にごめんなさい…!」


謝って許されることではないとわかってはいるけれど、謝らずにはいられなくて。


「頭あげなよ、別に気にしてないから」


ゆっくり顔を上げ、雅さんを見ると無理して笑っていた。


「俺じゃダメなんだなって思った。
昨日綾さん、何かを思い出すようにして震えてたの気づいてた?」


「……え?」


そう聞かれ、今初めて気がついた。


「やっぱり綾さんは俺ではなくて、あいつじゃないと無理なのかな。生徒に負けるとか相当悔しい」


ははっと、自嘲気味に笑う雅さん。
あいつ、とはきっと智也のことだろう。