「智也すごく褒め上手になったんだね。
今は彼女いないの…って、いるに決まってるか。
智也と同期の子?正直に教えてよね」
もちろん私は、そんな智也の言葉を本気にはしないけれど。
今だってこうして、智也の恋愛事情を聞いているくらいだ。
そもそも、私はもう大人。
もしかしたら、おばちゃんの仲間入りかもしれない。
生徒の恋愛話とか知りたいタイプなのだ。
「は?なんでいるって決めつけてんだよ」
けれど、智也は呆れたような口調で。
「え?いないの?最近別れたとか?
いないなんて意外すぎる!」
「いねぇよ」
「嘘!でも絶対モテるでしょ?あんたに惚れる女は多いはずよ」
どうやらいないらしいが、信じられない。
なぜなら、中学の時から智也はモテモテだったからだ。
けれど智也は急に黙ってしまう。
「……智也?」
「綾ちゃんはさ、俺に彼女がいたらどう思う?」
「えっ?」
突然の質問に戸惑う私。
智也に彼女がいたら?
そんなの───
「それは嬉しいよ。幼なじみとしてもだし、先生としても青春を謳歌してるって嬉しいよね」
正直に答えた。
もちろん本音だ。



