私も智也の隣に座る。
「智也はお風呂、入らないの?」
「ん?後で入る」
「なんで?」
「なんでって……綾ちゃんを一人にさせたくないから」
さらっと気遣う言葉を言われ、泣きそうになるのをぐっとこらえた。
やっぱり智也は私の様子が変だとわかってたんだ。
それなのに理由を聞かずにそばにいてくれてる。
こんなにも優しい人が私の幼なじみなんだって。
それで終われば良かった。
けれど、この時の私は弱くて、誰かに頼りたかった。
「ねぇ、智也」
「どうした?」
この間、最後だって言ったのに。
嘘ついてごめん、と心の中で呟いてから。
「苦しいくらい、私を抱きしめて」
口を開いた私。
この言葉の意味がどれだけ智也を苦しませるのか、わかってるのに───
智也は何も言わず、そっと私を包み込んでくれた。
だんだんと力を強め、私を苦しいくらい抱きしめる。
私は何も言えなくて、こらえていた涙が溢れ出す。
弱い人間で、どこまでも中途半端な人間。
それで雅さんを傷つけ、今だって智也を───
「俺を利用すればいいよ」
はっきりした声が、耳に届く。



