お願い、好きって言わないで。




「あ……」


そこで私はやってしまったと気づいた。


「……っ、ごめんなさい」
「……綾さん」

「本当にごめんなさい…!」

急いでベッドから降り、私は逃げるようにして家を出た。


「……綾さん!」


最後に私を呼ぶ声が聞こえてきたけれど、私は止まらずに走った。


外はさっきよりも雨が強くなっていたけれど、傘のない私は濡れながら駅へと走る。


そこからはあまり記憶がない。

濡れてるのにぼーっと突っ立っている私を、変な人のように見られていたような気がする。


そして気づけば私の最寄りの駅へ着き、そこからはもう走らず歩いて雨の中を歩く。


コンビニで傘を買う気にもなれなかった。