お願い、好きって言わないで。




もう大丈夫。
あの頃からずいぶん日が経っているんだ。


『そんなのすぐにぽいだろ。
ゴミのようにな』

『ひでー!』
『彼女かわいそう!ギャハハッ!!』


嫌いなあいつの声が、私の頭を支配する。


「綾さん、別に急がなくても…」
「大丈夫です」


ダメだ、忘れろ。

大丈夫、雅さんは私にはもったいないくらいの優しい人なのだから。



「楽しみにしてます」

私の言葉を聞いて安心したように笑った雅さんは、そう言って歩き出した。