お願い、好きって言わないで。




「じゃあその涙は何?」
「え……?」


智也に指摘され、初めて泣いてることに気づく。


「そんなに先生と生徒の肩書きが邪魔?
中途半端な気持ちなら、あいつと付き合うのはやめとけ」

「中途半端じゃない、本気…」


そう言い終える前に、智也に抱きしめられる。

子供だと思っていた智也は、私よりも大きくて、もうずっと大人だった。


「ここで抵抗しないと、浮気になるけどいいのか?」


智也が優しい声で私に聞く。
そんな聞き方、本当にずるい。


「今日、だけ…今日だけだから」


明日からはまた今まで通り、接するから。

その気持ちで罪悪感を紛らわせ、智也の背中に手をまわす。