「智也、気をつけて。谷原先生気づいてるから…」
…って私、どうしてこんなこと言ってるんだろう。
「そんなの綾ちゃんが心配しなくていいから」
「で、でも……」
「大丈夫」
私の頭の上に手を置き、一度触れるだけのキスをした後、去って行く智也。
これだとどっちの方が大人かだなんてわからない。
智也が去ってからも足に力が入らず、その場に座り込む。
どうしてだろう。
私はこう見えて二十三だ。
キス以上のことは経験済みだし、今日した深いキスだって知っている。
けれど、智也が上手いということもあるのだろうか。
こんなにも甘いと感じる私自身戸惑っていた。



