お願い、好きって言わないで。




「最悪!」


この状況を見られたらやばい。

今からじゃ絶対階段まで間に合わないし、偶然を装うにも谷原先生がいる。

周りを見渡して、死角になる壁を近くに見つけた。


「ちょ、来て!」


智也を引っ張り、そこの場所へと移動する。


少し狭く、ほとんど密着した状態だったけれど、それ以上にバレる方が嫌なのだから仕方がない。

そのまま通り過ぎてくれるのを願ったのだが。


「あ、私ここで飲み物買うんでこれで」
「あ、俺も買おうかな」


一人が残るとまた一人……となり、全員私たちの近くで立ち止まって話し出した。

どうして早く帰ってくれないんだ。


「あーあ、これバレたらやばいよな?」


内心ヒヤヒヤしている私とは違い、悪そうな笑みを浮かべる智也。


「今はそれどころじゃ…」


智也を睨もうとしたけれど、あまりの近さについ意識してしまう私。

「綾ちゃん?」
「静かにして。これ以上喋ったら許さないから」


そして私は智也から視線を外し、先生たちの方へ意識を向ける。