「もっとあなたのことが知りたい。
ダメですか?」
真剣な瞳が私を捉えた。
「こんなこと言うのずるいですが、生徒なんかより俺の方が安全です」
谷原先生の言う通りだ。
智也か谷原先生か。
これからのためを思えば、どちらを取ればいいのかだなんて一目瞭然。
それなのに、どうして私は迷ってるの?
ふと、ここ最近の智也を思い出す。
昔よりもずっと男らしくなり、大人びていて。
余裕そうな顔に、甘く優しいキス。
ダメなんだって。
智也とはそういう関係にはなれない。
そう思い直したけれど、素直に『はい』とは言えず。
「私も谷原先生がどんな人か、知りたいです」
結局、遠回しな言い方をしてしまう自分が一番ひどい人間なのかもしれない。



