お願い、好きって言わないで。




とりあえず、なるべく智也から離れて窓の外を見る。
どうしてこうなった。

せめて始業式の日に戻りたい。


そしたらもっと智也のこと警戒して、こんなことにならずに済んだはず。

なんて思っていたら、突然右手がぎゅっと握られる感触がした。


見ると、智也の左手が私の指に絡めてきて。
当の本人はというと、智也は通路の向かい側にある窓の外に視線を向けていた。

まるで私と何事もないかのように。
そんな智也を女子生徒たちが絵になると言って騒いでいた。


だから私は何もできずにいて。
頑張って離そうとするも、力が強くて敵わない。

仕方なく諦めて大人しくする。
智也も何も言わずに黙って、私の手を握っていた。