「さすが私の息子ね! よくぞ綾ちゃんを落としたわ、いやぁこればかりは褒めてあげる」


「綾も綾でもっと早くに好きって言っとけばよかったじゃない。私たちがどれだけ家を空けてチャンスを与えたと思うの?」


衝撃的な親の言葉。

ここ一年、親がいない時が多かったのはそれが理由のようだった。


この時初めて、親は怖いなと思った。


「さ、二人とも上がって。
今日は卒業祝いと恋人記念祝いねぇ」


二人は上機嫌でリビングに向かう。


「なんか、色々ありすぎて頭追いつかない…」


呆然とする私に、智也はふっと笑う。


「綾がショート寸前なんて珍しいな」


一方で智也は平然としていて、先にリビングへと向かっま。


逆にどうして智也は平気でいられるのか。
それが不思議だった。


けれどこの瞬間も幸せなのは確かで、私も智也の後ろをついていった。