そのため、他の子に渡るのは嫌で素直にそれを受け取る。

すると彼が私の背中に手をまわし、優しく抱きしめてきた。


「……綾」


低く、落ち着いた声で私の名前を呼ぶ智也に、思わずドキッとしてしまう。


「好きだ。
ずっと前から綾が好きすぎてもう限界」


真剣で、どこか少し余裕がないようにも聞こえる声。
もう素直に受け入れていいのだと、私は思った。


私も智也の気持ちに応えるよう、彼の背中に手をまわして抱きしめ返す。


「私も、好き。
智也が好きだよ…」


本当にこの瞬間が幸せで、たまらなく愛おしくて。
この時間が一生続けばいいのにとさえ思った。