「今日はやけに素直だな」
「もう言ってもいいでしょ?」

「まだ格好的には危ないけどな」


そう言って笑ったかと思うと、彼は突然自分の手を私の方へ差し出した。



「素直な綾ちゃんには、これあげる」


見ると、それは制服のボタンだった。


「……え?」
「こういうの、好きそうだったから」


どうやら智也には全部バレていたらしい。
それはおそらく第二ボタン。


「好きではない、けど……まあ気になってた」
「気になってた?」

「第二ボタンの行方」
「なんだそれ」


智也に笑われるけれど、こっちは真剣だ。

第二ボタンの意味というのは、私の頃からすでに有名なジンクスと化していたから。