「何?綾ちゃん、もしかして年下の俺のキスだけで腰抜けてんの?」
年下の俺、を強調する智也はタチが悪い。
絶対昨日のこと根に持っている。
けれど私も悔しかったからすぐ、「うるさい!」と言って離れようとするが、力が入らず崩れ落ちそうになるのをまた智也に抱きとめられた。
「ほら、やっぱり」
すると今度は壁に押し付けられ、行く手を塞がれる。
こんな強引な智也、見たことがない。
「なあ、俺本気だって言ってるだろ。
なんで信じてくんねぇの?」
智也な瞳が私を捉え、逃がそうとしない。
「だって、智也はただの幼なじみで生徒だから」
「まだそれ言うのかよ。
年下の俺に好きなようにされてるくせに」
智也はそう言って、私の顎に手を添え持ち上げる。
視界に広がるのは、余裕ありげに笑う智也の姿。
「年下年下って見下してさ、結局俺にその余裕崩されてんじゃん」
「……っ」
悔しいけれど、間違いじゃなくて視線をそらす。



