「もう帰るだけなんだよな?」
「うん、そうだよ」
「ならちょっと話そう」
智也はそう言うと、駅とは反対側にある公園に私を連れてきた。
智也の後ろをついていくと、彼は突然振り返る。
「懐かしい…昔はよく遊んでたな。
家の近くの公園で」
昔を思い出すようにして笑う智也。
確かに、よく近所の公園で遊んでいたな。
「でも綾ちゃんが中学生になったらそれも少なくなって、会う機会も減ったし。
唯一勉強教えてもらう時だけが二人になれる時間だったよな」
言われてみればそうだった。
部活を始めた私は、智也に構ってあげる時間さえもなくなっていた。
たまに勉強を見てあげて、智也が中学生になってから勉強を教える機会は増えたけれど。



