「やっぱり大事な生徒が卒業するのは寂しいものですね」
職員室に入るなり、三年を担当していた先生たちがしみじみと過去を振り返りながら語っていた。
「黒崎先生も一年間お疲れ様。
生徒の信頼も厚かったし、一年目なのにこんな立派な先生なかなかいないわ」
そんなこと言われるとは思っていなくて、素直に嬉しいかった。
けれど、複雑な気持ちもあった。
だって私は、一応生徒に手を出している身だ。
それなのに立派と言われる筋合いはないだろう。
それがわかっているのに、智也と関わりを持っていたのだから余計に。
そして少し時間が過ぎたところで、卒業式が始まった。



