スマホからアラーム音が聞こえ、目が覚める。


「ん……」


どんな夢かは覚えていないけれど、温かい。
そう思える幸せな夢だった気がする。


スマホのアラームを消し、ゆっくりと体を起こす。


あれからもう一ヶ月以上経ち、智也はすでに一般入試の方も終えていた。


つまり、あとは結果待ちということで。


あの事件のことは特に噂されることもなく、校長と教頭しか話が行き届いていない。


目眩で階段から落ち、頭を強打して病院で一日入院した、となるべくリアルな嘘を用意し頭に巻いてある包帯の理由にした。


案外みんなは信じてくれたから救われた。

おそらく、国公立一般入試を控えていて詰め込んでいたっていうのもあるだろうけれど。