お願い、好きって言わないで。




「もう、安心していいから」


俺は涙目になっている綾ちゃんの唇にキスを落とした。


目を閉じ、それを受け入れる彼女がたまらなく愛しくて、もっと触れたいと思った。

だけど怪我を負っているため、変なことはできない。


理性で必死に耐える。

するとその時、病室のドアがノックされた。
綾ちゃんは恥ずかしそうに俺から離れる。


そういうところも可愛いんだよな、なんて思いながら俺も一歩後ろに下がると───


開いたドアから、若槻の兄が入ってきた。


「若槻、くん…」
「黒崎、大丈夫か?」

「うん、大丈夫。若槻くん、本当にありがとう」
「俺がお礼を言われる筋合いはない」


そう言って若槻の兄はドアの方を見た。


「それで黒崎が良いなら、なんだけどさ…妹が黒崎に謝りたいってうるさいんだ。いいか?」


その言葉を聞き、素直に驚きの表情を見せる綾ちゃん。


だけどすぐに「いいよ」と答えた。