「じゃあはい、これ。
回覧板、親に渡しといて。じゃあね」
急いで立ち去ろうと思い、つい早口になりながらも、智也に回覧板を渡す。
そして背中を向けたのだけれど……彼に腕を掴まれてしまった。
最悪だ。
「何ですぐ帰ろうとすんの?」
「別に、用はこれだけだから」
振りほどこうとしてもやっぱり敵わない。
「なんか綾ちゃん、焦ってない?」
その声には余裕が含まれていて腹立たしい。
「早く離してよ、その手」
冷たい声で突き放したその時。
突然腕を引っ張られ、背中に智也の手が回されて抱きしめられる。
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