「お兄ちゃんが黒崎先生と同じ大学で同じ歳だったから聞いてみたの。
そしたらお兄ちゃんが、少し悲しそうな顔をして『知ってるけどお前に言う義理はない』って言われて。
そしたら絶対何かあったと思って…………聞いたの」
そう言って若槻は少し俯いて黙った。
「聞いたって、誰に?」
若槻は涙目になり、顔を上げて続ける。
「私、涼太さんのこと知ってたの。お兄ちゃんの友達で……だけど女遊びがひどくて軽かった。
私も言い寄られたけど、すぐ諦められた。
だけど連絡先は知ってたの。それで…」
だいたい察しがついた。
綾ちゃんに元気がなかったの日のことを思い出す。
「涼太さんなら教えてくれると思って聞いたら、全部教えてくれて……本当は智也くんから離れてほしくて、脅すために言っちゃったの。
だけどそれはどれだけひどいことかって、初詣の日に会うまでわからなかった」
一呼吸、置いてから。
「本当に、ひどいことしてごめんなさい……」
若槻は頭を下げて謝った。
その言葉に対し、謝る相手間違えてる、と言おうとしたら突然若槻のスマホが鳴った。



