「じゃあお母さん、出かけてくるわね」
「はーい、いってらっしゃい」


冬休みが明けて少し経ったある日。
その日は創立記念日で休み。

けれどセンター試験を控えているため、多くの生徒が学校に登校していた。


私はというと、センター試験対策の担当ではないため家で休んでいた。


「じゃあ鍵閉めてね。よろしく」


お母さんは友達と出かけるみたいで、家には私一人。


いくら休みとはいえ、私にはやらないといけない仕事が残っていた。



二階に上がり、部屋に入り机に向かう。


「もう一時過ぎか。仕事やろう」


独り言を呟いた後、少し文字を打っているとインターフォンが鳴った。

それも立て続けに三回。


お母さんが何か忘れ物でもしたのかなと思い、確認せず急いでドアを開ける。


けれどそれは、地獄の始まりだった。


「え……」


「よう、綾。やっと見つけた。この前といい、お前って俺にとって本当にうざい存在なんだよな」



ドアを開ければ目の前には不敵に笑う、涼太がいた───