「綾って超騙されやすいからな。またこんなイケメンに弄ばれてるってわかんねぇの?
綾、俺で学習したんじゃなかったんだ」
見下すように話す涼太。
悔しいけれど、騙されたのはその通りで何も言い返せない。
ただその目は明らかにバカにしているようで、楽しそうだった。
素直に気持ち悪い、吐き気が私を襲う。
「え……智也くんは黒崎先生と、どういう関係なの…?」
若槻さんはだいぶ取り乱していて、状況を理解していない。
もうどうすればいいかわからなくなっていると。
「お前が綾ちゃんを知ってるような口で話してんじゃねぇよ」
決して涼太に怯まず、思いっきり睨む智也。
そんな状況を見た若槻くんが間に入ってくれ、なんとかそれ以上話をすることはなかった。
「二人とも、気にせず帰っていいから」
申し訳なさそうに眉を下げる若槻くんに対し、妹である若槻さんと、さらには涼太はどこか不満げだった。
「綾ちゃん、行くぞ」
けれど智也は気にせず、私の手を握って歩き出す。
私も智也の後ろについていき、もう後ろは振り向かなかった。



