さらに負の連鎖は止まらない。


「え、まじかよ。もしかして綾?」


───ドクンと、心臓が嫌な音を立てた。


その声で、昔を思い出す。
私の名前を呼ぶ男の声を、私は知っていた。


金縛りが起こったかのように、その場で動けなくなる。

もう二度と、会わないと思っていたのに。


思い出す、これまでの出来事。
思い出す、あの時の恐怖。


「やっぱ綾じゃん!久しぶりだな!」


大学の出来事なんてなかったかのように、私の元へ近づいてきた相手は───


元カレである、涼太だった。