「え……若槻、くん？」
最後に会った日から、ほとんど変わっていない若槻くんが一人、立っていた。
「久しぶり」
私がそう言って笑うと、若槻くんは少し焦ったように話し出す。
「なんで黒崎が、ここにいんの。
ここはやめといた方がいい、早く帰れ」
「……え？」
若槻くんの言葉に理解できないでいたけれど。
「え！？うそ、智也くん！？」
学校で聞いたことのある声が私の耳に届く。
そこでようやく、若槻くんの焦っていた理由がわかった。
急いで顔を逸らそうとしたけれど、その時にはもう遅くて───
「……は？何で？
…なんで智也くんと黒崎先生が一緒にいるの？」
最悪な形で、バレてしまった。
