けれど───
「あんたね、そんな簡単にバレるわけないでしょ。人が多いんだから」
「大丈夫よ、今時の若者なんて夜に行って昼間はそんなにいないはずだし」
お母さんたちは、バレるわけないと言い張り。
「じゃあ少し遠くに行けばいいじゃないか」
「行っておいで」
お父さんたちまでも、まるで私たちを邪魔者扱いするかのように、追い出そうとしてくる。
もしかして何か大事な話でもあるの?
なんて思いながら、逃げ場をなくした私は仕方なく行くことにした───
ではなく。
少し、智也と行きたいかなって思ったり思わなかったり。
「うわ、寒い……」
「ははっ、綾ちゃん怒ってる」
外に出ると冷たい風が私たちに向かって吹いてきた。
その寒さに思わず身震いする。
「当たり前でしょ。まだ起きてそんな経ってないのにこんな真冬に外に出るなんて……!」
マフラーを巻いて、なるべく顔が見えないようにする。
私はまあいいとして、とりあえず智也が目立つ。
こんなんが初詣にいたら注目の的だ。
とりあえず私たちは家の近くの神社ではなく、高校からさらに遠くなる神社へと向かった。



