「とも、ん……」
名前すら呼ばせてくれない。
最初こそ彼の服を掴んでいたけれど、その力すら抜けていくのがわかった。
それなのに、足りない。
「……っ」
ようやく唇が解放され、智也の胸元へ倒れこむように抱きついた。
「……弱いな」
私の頭を優しく撫でながら、そう呟いた智也。
弱いんじゃない。
全部、智也のせいだと頭の中で繰り返す。
こんなにもキスが甘くて、これ一つでここまで狂わされるだなんて今まで経験したことがない。
「じゃあ勉強するか」
そう言って私を離そうとする智也に、私はぎゅっとしがみつく。
「……綾ちゃん?
勉強するから離れてくれねぇと」
「嫌」
私の意思を無視して自分勝手に動く智也に負けた気がするから、こうして反抗してみる。



